たまき雄一郎ブログ -2ページ目

たまき雄一郎ブログ

衆議院議員玉木雄一郎のオフィシャルブログです。

臨時国会最後の衆議院憲法審査会が終わりました。振り返ってみると、今国会も、改憲項目の絞り込みも具体的な条文案づくりも全く進みませんでした。残念です。護憲派の野党だけでなく、自民党にも改憲の熱意を感じることができません。そこで、先週、私から改正条文案について取りまとめる「作業部会」の設置を提案したところ、自民党の中谷与党筆頭幹事から、「起草のための機関」の設置が提案されました。第一歩ではありますが、明確なスケジュールを定めて議論を進めないと、作業はグダグダになってしまうでしょう。岸田総理が本気で来年9月の任期中の改憲を目指すのであれば、そのための明確なスケジュールを示してもらいたいものです。



衆議院インターネット中継より


憲法審査会発言要旨(2023年12月7日)


 岸田総理は、自民党の憲法改正実現本部の会合で、「自民党総裁として目の前の任期中に改正を実現したい」、「党派を超えた連携を目指す改正項目について党としての考え方を取りまとめてほしい」と述べた。意気込みはいい。ただ、今日が臨時国会最後の憲法審査会だ。この国会を振り返って、改正項目の絞り込みや、条文案づくりが1ミリも進まなかったことは残念でならない。岸田総理の目指す来年9月の総裁任期中に改正するなら、今国会でこそ「党派を超えた連携を目指す改正項目」として、4党1会派で合意が進んだ「緊急事態条項」についての条文案作成に取り掛かるべきではなかったのか。なお、自民党の「自衛隊明記案」は、改憲案としては中途半端で、何より自衛隊違憲論を解消できない内容だ。私は反対だし、まだ意見集約は行われていないと認識している。


 先週、本審査会に、議員任期の特例延長規定を創設する憲法改正条文案をつくる作業部会の設置を求めたが、本日、中谷与党筆頭幹事から「起草に向けた機関」を創設する旨の発言があったことは評価したい。その上で、閉会中も議論を進めていただきたい。衆議院憲法審査会規程8条では、国会の開会・閉会を問わず開会できるとされている。


 立憲民主党さんにも協力いただきたいのは、奥野議員の発言にもあったとおり、御党においても、戦時等、選挙が困難な事態においては、議員任期の延長を可能とする憲法改正も検討の余地があると考える。議員任期の延長規定の創設については、ぜひ前向きに議論していただきたい。「国会中心主義」の観点から合意を得られるテーマだと考える。


 その意味で、立憲民主党に改めて確認したいのは、一時的、暫定的、限定的な役割しか付与されていない参議院の緊急集会で、本予算の議決や条約の承認ができると考えるのか。衆議院の事後的な「同意」が必要な緊急集会が、本予算や条約まで決めるとなると、それは、予算の議決や条約の承認について衆議院の優越や、両院同時活動の原則に反し、違憲の疑いが生じるのではないか。考え方をお知らせいただきたい。


 国民投票法改正案についても一言申し上げたい。政党等による有料ネット広告をどこまで規制するかは、国民広報協議会におけるネット広報がどこまで行われるかとセットで考える必要がある。具体的には、録音録画の公営限度額をどこまで認められるかが重要な要素だ。一番正確な情報発信ができるのは改正案を取りまとめた政党だ。その政党からの発信が禁止される一方で、偽りのプロパガンダが拡散されると、国民の正しい判断が歪められてしまう。


 ここで立憲民主党に質問する。フェイクニュース対策と言った際に、例えば、政党によるネット広告禁止期間中に、護憲を訴える団体が「国民民主党が主張する緊急事態条項はナチスを生み出すものだ」といった事実に反する情報を有料広告で発信した場合、その発信はフェイクニュースとしてきちんと規制されるのか。逆に、改憲を訴える団体が、「自民党の9条改憲案によって、これまで自衛隊ができなかったことができるようになる」といった事実に反する情報を有料広告で発信した場合、その発信はフェイクニュースとして規制できるのか。答弁を求める。これは、実際に起こりうる事案である。


 なお、立憲民主党さんが「データ基本権」を憲法上に明記するといった改憲を進めるなら、国民民主党として共通条文案づくりに協力したい。私たちは3年前の12月に憲法改正に向けた論点整理で、公党の中で初めて「データ基本権」の明記について具体的な条文案を提示した。今話題となっている「自己情報決定権」(いわゆる「自己情報コントロール権」)を18条の2に規定し、「思想良心の自由並びにその形成の自由」を保障する19条改正案を提案し、プロファイリングによるマイクロ・ターゲティングによって思想・良心の形成プロセスが不当に操作されないようにする案も示した。さらに、社会的に大きな影響力を持つに至った「新たな統治者」としてのフラットフォーマーの責任にも注目し、偏りのないバランスの取れた「自律的かつ多様な言論空間の確保」し、インフォメーション・ヘルスの環境を整える責務を課す21条改正案も提案した。こうした内容を踏まえた具体的な条文案づくりを立憲民主党さんとも進めたい。


 最後に申し上げたいには、とにかく大切なことは、スケジュール管理だ。言いっ放しや、堂々巡りを繰り返すのではなく、議論を具体的に前に進めることだ。最後に改めて、憲法改正の条文案づくりに着手する作業部会の設置を求めて発言を終える。

臨時国会で実質的な議論としては2回めとなる憲法審査会が開会されました。毎週木曜が定例なので、12月13日までの国会会期末まであと1回しか開けません。

 

岸田総理が来年9月の総裁任期中の憲法改正をめざすといいつつ、自民党含め本気度が感じられないと前回の憲法審査会で苦言を呈しましたが、祝日を挟んで2週間経っても状況に変化が見られません。

 

絶望的な徒労感を感じつつも、憲法改正条文案を起草する作業部会の設置を憲法審査会長に求めました。「ネオ55年体制」の壁は厚いですが、これからも諦めることなく憲法改正の議論を少しでも前に進めていきます。

 

衆議院インターネット審議中継より

 

憲法審査会発言要旨(2023年11月30日)

 まず、中谷筆頭幹事に確認したい。岸田総理は、ご自身の考える憲法改正のスケジュールは、来年9月の任期中だと明言された。であれば、今国会で憲法改正のテーマを絞り込み、条文案を作らないととても間に合わない。しかし、今臨時国会、憲法審査会の定例日は会期延長がなければあと一回しかないし、次回の最終回も、総括的な自由討議で合意したと聞く。正直、党の総裁が表明しているスケジュールで憲法改正を進めるつもりがあるのか甚だ疑問だ。先日の国会での総理発言後、岸田総裁と打ち合わせをしたのか。確認したい。

 自民党側の熱意と本気度が感じられない。正直、絶望的な徒労感を感じている。前回と同じことを申し上げて恐縮だが、自民党の憲法改正は、保守層を繋ぎ止めるための「やるやる詐欺」になってはいないか。来年9月までの任期中に改憲したいなら選択肢は一つ。それは、これまで丁寧な議論を重ね、4党1会派で概ね意見の集約が図られてきた「緊急事態における議員任期の特例延長規定の創設」だ。私たち国民民主党、日本維新の会、有志の会の2党1会派による共通条文案もある。会長にお願いしたい。議員任期の特例延長規定を創設する憲法改正条文案をつくる作業部会の設置を求めたい。

 今から他のテーマに手を広げても来年9月に間に合わない。9条の2を創設して自衛隊を明記する、いわゆる「自衛隊明記論」は、前回も申し上げたが、違憲論を解消することのできない中途半端な内容になっている。9条を改正するなら、もっと緻密な議論を行うべきだ。とても来年9月までには間に合わない。
 緊急政令についても、我が党は必要だとの立場だが、与党の公明党さんが慎重な姿勢を示しておられる。これも来年9月に間に合わせるのは容易ではない。
 立憲民主党さんが改憲も一案だと考えている「データ基本権」などについては、我が党は早くから提案しており賛成だ。ただ、必ずしも憲法に書き込む必要はないのではないかとの意見が公明党や立憲民主党の中にもあるだろうから、これも来年9月までに合意を得ることは困難だ。
 であれば、来年9月までに発議ができる可能性があるのは、議員任期の特例延長規定の創設しかないのではないか。最も幅広く合意が得られたテーマだ。改めてこの議員任期の特例延長規定を創設する憲法改正条文案を取りまとめる作業部会の設置を求めたい。

 次に、立憲民主党の奥野議員に確認したい。中川筆頭幹事からは、立憲民主党は議員任期の特例延長には反対だと明言したが、奥野議員はかつて、戦時等、選挙が困難な事態においては、議員任期の延長を可能とする憲法改正も検討の余地ありとする旨の発言をしておられた。考えを変えたのか。

 そして、奥野議員だけでなく、野党第一党である立憲民主党さんにお願いしたいのは、憲法改正絶対反対ではなく、前向きに議論に参加していただきたい。有事における権力の適切な統治のあり方たについてはイデオロギーを超えて「国会中心主義」の観点から合意を得られるテーマだと考える。

 憲法改正をやるやると言ってやらない与党自民党と、一字一句憲法を変えてはならないとこだわる野党第一党との間の奇妙な共闘関係が続く「ネオ55年体制」が続く限り、憲法改正をめぐって野党は割れ続け、政権交代も実現しない。逆説的に聞こえるかもしれないが、今の硬直した状況を打破するためには、野党第一党が幅広く合意が得られるテーマで改憲議論をリードすることが必要ではないか。

 最後に、国民投票法改正案について一言申し上げたい。我が党も、基本的な問題意識を同じくしているし、立憲民主党の提案する国民投票法改正案の成立には最大限協力したい。ただ、ネット広告をどこまで規制するかは、国民広報協議会におけるネット広報がどこまで行われるかとセットで考える必要がある。一番正確な情報発信ができるのは改正案を取りまとめた政党だ。その政党からの発信が禁止される一方で、偽りのプロパガンダが拡散されると、国民の正しい判断が歪められてしまう。政党等による情報発信を幅広く禁止する前に、国民広報協議会でいかなる情報発信がどこまでできるかを具体化する必要があると考える。録音録画の公営限度額をどこまで認めるかも重要な要素だ。

 そもそも、ネットの世界では、情報を規制するよりも、正しくバランスの取れた情報をたくさん出すことによって、誤った情報を駆逐していくのが正しいアプローチだと考える。ここで立憲民主党に質問があるのは、フェイクニュース対策と言った際に、例えば、ネット広告禁止期間中に、護憲を訴える団体が「国民民主党が主張する緊急事態条項はナチスを生み出すものだ」といったフェイクニュースを有料広告で発信した場合、その発信はフェイクニュースとしてきちんと規制されるのか。また、政党として有料広告を出して反論することも禁止されるのか、奥野議員に答弁を求める。

 議員任期の特例延長規定の創設のための憲法改正条文案作りも、国民投票法改正の議論も両方並行してやればいい。とにかく大切なことは、堂々巡りを繰り返すのではなく、議論を具体的に前に進めることだ。最後に改めて、憲法改正の条文案づくりに着手する作業部会の設置を求めて発言を終える。

この臨時国会で実質的な議論としては初となる憲法審査会が開催されました。

岸田総理は来年9月までの総裁任期中の憲法改正をめざすとしていますが、自民党含め本気度が感じられません。

 

一方、戦後、護憲派野党は過半数の獲得による政権交代よりも、3分の1の議席獲得による改憲阻止を優先して来ました。「護憲」にこだわりすぎる結果、憲法改正をめぐって野党が分断され、自民党の一党優位体制を支え続けるという皮肉な状態が続いています。

自民党も本音では、憲法改正が実現してしまわない方が、(野党が分断され)選挙には有利と考えているのではないでしょうか。

 

やるやると言って憲法改正をやらない自民党と、過半数を獲得して政権交代を実現することより「護憲」にこだわる野党。この「ネオ55年体制」とも言える状況を打破するためには、与野党を超えて一致できる項目で憲法改正を実現する必要があります。

その具体的項目として私たちが提案し続けているのが、緊急事態における議員任期の特例延長規定の創設なのです。

 

衆議院インターネット審議中継より

 

憲法審査会発言要旨(2023年11月16日)

 私は、昨年11月17日の憲法審査会で次のように述べた。「昨年の通常国会以降の議論の中で、「緊急事態条項」とりわけ議員任期の特例延長の必要性については、スピード感を持って合意を得るべきテーマとして認識されたと思われる。そこで、会長にお願いがある。法制局に論点整理をしてもらい、論点ごとに合意点をピン留めしていきたい」と。
  
 そして、この提案を受け、法制局が議員任期の延長についての論点整理を行い、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、有志の会の4党1会派では一定のコンセンサスが得られたと認識している。さらに、我が党は本年6月19日に日本維新の会及び有志の会とともに憲法改正条文案を取りまとめ、8月19日に3党派合同で公開シンポジウムまで行った。これが、ここまでの経緯である。

 しかし、肝心の自民党の取り組みの歩みが遅すぎるのではないか。昨年の臨時国会では実質的な討議が5回できたが、今臨時国会での実質的審議の機会は今日を除けば11月30日と12月7日の2回のみ。岸田総理は、来年9月までの今の総裁任期中での憲法改正に意欲を表明されたが、それであれば、来年の通常国会末には発議しないと間に合わない。逆算すると、今臨時国会で具体的な改正案について成案を得ないと間に合わないことになる。その作業があと2回でできるのか。少し強い言葉で申し上げると、自民党の憲法改正は、保守層を繋ぎ止めるための「やるやる詐欺」になっているのではないか。自民党の憲法改正に対する熱意、本気度が感じられない。

 中谷筆頭幹事に確認したい。岸田総理が表明した今の総裁任期中に憲法改正を実現する気はあるのか。そのために具体的にどのようなスケジュールを想定しているのか明らかにしてほしい。今日もそうだが、残念ながら自由討議という名の「言いっ放し大会」に審査会の先祖がえりしている。議論するテーマを明確にし、合意点を確実にピン留めしていく運営をお願いしたい。

 今のスケジュールや運営では、到底、来年9月までに改憲などできない。本当に任期中に改憲したいなら、これまで意見の集約が図られてきた緊急事態における議員任期の延長規定の創設に絞って成案作りを進めるしかない。その際、私たち2党1会派の条文案をベースにしていただきたい。自民党や公明党の意見も踏まえた内容になっている。

 今から他のテーマに手を広げても、到底、岸田総理の公約を達成できない。例えば、9条改憲を主張する方もいるが、とても任期中には間に合わない。確かに9条改憲は重要で我が党も2020年にまとめた論点整理を元に積極的に議論を提起していきたい。ただ、現在の自民党案では、戦力不保持を定めた9条2項を存置した上で、自衛隊の行使する自衛権については、これまでの9条2項の解釈の範囲内とする内容となっており、できることは何も変わらない。何も変わらないので、自衛権をめぐる違憲論争も解消されない。


 そんな「労多くして益なし」の改憲を本気でやるつもりなのか。我が党は、9条2項を削除するか、仮に残す場合であっても、9条2項の例外として自衛権を位置付けるべきと提案している。わざわざ改憲したのに、違憲論が残り続ける内容では、危険を顧みず身をもって責務の完遂に務める自衛隊の皆さんの期待に応えられない。中途半端な9条改憲案は将来に禍根を残すものとなる。自衛権の範囲を複雑な解釈に依存する現状を改める、いわば「解釈のラビリンス(迷宮)」から抜け出すことのできる、本質的な議論が必要だ。


 そこで、改めて自民党さんに確認したいのは、岸田総理の今の総裁任期中に9条改憲まで考えているのか、ご教示いただきたい。

 次に、共産党さんにも一言申し上げたい。毎回、赤嶺先生の信念に満ちた発言には敬意を表したいが、共産党が、我が党を含む4党を「悪政4党連合」と呼び「改憲と戦争国家づくりを煽っている」と批判されているのは残念である。不毛なレッテル貼りは、冷静で真摯な議論の妨げにしかならない。私は、この場で何度も、我が党の考える緊急事態条項は、権力行使を容易にする条項ではなく、有事においても権力を適切に統制するための条項であるということ述べてきたし、そうした考えに基づいた条文案になっている。私たちの緊急事態条項が成立してもナチスは出てこない。どうか、緊急事態条項=戦争国家づくりとのレッテル貼りはやめていただければ幸いである。

 野党第一党である立憲民主党さんにもお願いがある。憲法改正絶対反対ではなく、前向きに議論に参加していただきたい。党内に様々なご意見があることは承知しているが、有事における権力行使の適切な統治のあり方については、イデオロギーを超えて、一緒に考えてもらえないだろうか。特に、任期満了時に選挙困難な場合、一定期間は参議院の緊急集会で対応できると思うが、それはあくまで一時的・暫定的であるべきだし、この点については認識を共有できると思う。また、議員がお手盛りで任期を延ばす懸念についてはもっともであり、だからこそ私たちも司法の関与を提案している。どのような司法の関与のあり方が適切か、ぜひ、立憲民主党さんの建設的意見も入れて成案を作っていきたい。

 最後に一言申し上げたい。東京大学の境家史郎先生は、「憲法改正という争点を『軍国主義か民主主義か』というイデオロギー的問題として捉える枠組みから日本人が解放されない限り、この国の『戦後』が終わることはないだろう」と著書「戦後日本政治史」で述べている。戦後、護憲派野党は過半数の獲得による政権交代よりも、3分の1の議席獲得による改憲阻止を優先してきたために、憲法改正をめぐって野党が分断され、逆説的に自民党の一党優位体制を支え続けている。この境家先生の「ネオ55年体制」論に私も同感である。立憲民主党には、野党第一党として、ぜひ「戦後の憲法問題の呪縛」を解いてほしい。

 憲法改正をやるやると言ってやらない与党自民党と、一字一句憲法を変えてはならないとこだわる野党第一党との間の奇妙な共闘関係が続く限り、憲法改正も政権交代も実現しない。自民党、立憲民主党の双方に前向きな憲法改正論議を求めるとともに、私たち国民民主党も幅広い合意形成に貢献し、「ネオ55年体制」を打破していく決意を申し上げて発言を終える。

今日から国民民主党の代表選挙スタートしました。前原誠司さんと一騎打ちです。9月2日の投票日まで、どうぞよろしくお願いします。

国民民主党が大きくなれば、必ず日本は変わります。党員・サポーターでない方も、ぜひご注目ください。

共同記者会見でも申し上げた、告示に当たっての決意は以下の通りです。ご一読ください。

 

出陣式の様子を動画でご覧いただけます

■結党の理念

玉木雄一郎です。私は、結党以来、訴えてきた「対決より解決」の姿勢を貫き、国民民主党を国民民主党として強く大きくするため、この代表選挙に立候補しました。政策や理念を脇に置き、選挙のために、いわゆる「大きな塊」に安易に頼る政治を続けてきた結果、国民の間に、野党に対する不信感を広げてしまいました。その反省に立ち、2020年9月に、覚悟を決めた仲間で結党したのが国民民主党です。

安易に「大きな塊」論に回帰する先祖がえりは、国民民主党の結党の理念に反し、我々の覚悟に賛同してくれた仲間や支援者、そして国民の期待を裏切ることになってしまいます。私は古い政治には決して戻りません。

■3年間の歩み

もちろん、私たちの進む道は困難な道です。何より、昨年の参議院選挙で矢田わか子さんをはじめ大切な仲間を失ったことは痛恨の極みです。しかし少しづつではありますが着実に党勢は拡大してきています。最新の共同通信の政党支持率は4.4%で、公明党、共産党を上回り結党以来最高となっています。また、3年前の代表選挙の際は、国会議員の数は16名でした。それが今21名。地方議員の数は153名が270名に。党員・サポーターは約2万5千人が3万7千人になり、学生部の部員も170名になりました。自治体議員も本年の統一地方選挙をはじめ新国民民主党で初当選した方が全体の約3割を占めています。6月に始まった政治塾には650人もの方が応募してくれています。
今、国民民主党は、私たちが掲げた旗の下に集まった新しい人材によって新しい政党に生まれ変わりつつあります。私は、この流れを止めることなく、さらに加速させていきます。

■国民民主党はもはや国会議員だけの政党ではない

 

 

そして、私がこの3年間、全国キャラバンなどで47都道府県全てを回って得た最大の「気づき」が、「国民民主党は、もはや国会議員だけの政党ではない」という事実です。本日お集まりの党員・サポーターの皆さん、日頃から支えてくれている組合員の皆さん、そして、この瞬間も日本のどこかでチラシを配ってくれているボランティアの皆さんをはじめ、多くの人に国民民主党は支えられています。また、私たちの理念・政策に賛同して立候補を決めてくれた地方議員の皆さん、そして総支部長さんたちがいます。こうしたかけがえのない仲間の思いを、国会議員の選挙の都合で振り回すようなことは、二度としてはなりません。ましてや、合流や合併で党をなくすようなことは絶対にしません。

■政権構想

私は近い将来、必ず政権を担います。ただ、これまでよく言われてきた二大政党制による政権交代はイメージしていません。「反自民非共産」で「大きな塊」と言っても、現状、野党が複数に分かれ、特に、野党第1党である立憲民主党と第2党である日本維新の会が70以上の選挙区で競合し、第1党を争っているような状況の下で、「二大政党制による政権交代」は現実的ではありません。しかも先日、今の選挙制度を作った張本人の細川元総理が、今の選挙制度は二大政党制による政権交代を想定していない旨述べています。こうした状況を鑑みると、私はむしろ「穏健な多党制による政権交代」をめざすことが、現実的な選択肢と考えます。
だからこそ今は着実に実力をつける時です。近い将来、新たな連立政権の一角を占めることができるよう、次の衆議院では、さらなる候補者の擁立を行い、候補者全員の当選に向けて戦略的に取り組みます。そして大型国政選挙毎に2割ずつ確実に勢力を増やし、2025年の次の参議院選挙の時には、国民民主党を全国比例で460万票程度取れる政党にし、全国比例で安定的に4〜5議席を獲得できるようにします。

■給料が上がる経済の実現、そして人づくりこそ国づくり

そして、我が党の政策実現力を更に高め、「政策の国民民主党」のブランドに磨きをかけていきます。「給料が上がる経済の実現」「自分の国は自分で守る」「人づくりこそ国づくり」の三本柱を基本としつつ、その中でも重視したいのが「給料が上がる経済の実現」です。今、日本経済は過去30年続いた「賃金デフレ」から脱却できるかどうかの瀬戸際です。毎年4%給料が上がれば、18年で倍増します。当然、年金も増えます。賃上げの流れを中小企業や非正規にも広げていきます。そのため、私は、持続的な賃金アップを達成するまでは、金融を引き締めたり、増税や社会保険料アップするような経済政策は取りません。また、家計や企業の負担を軽くするため、速やかにガソリン代を引き下げることを、再度、政府・与党に強く働きけます。岸田政権の対応は何をするにも遅すぎます。国民生活の現状が見えていません。

■永田町の論理ではなく、国民のための政治に

私が、ガソリン値下げで与党と協議したことを「自民党にすり寄り野党分断のお先棒を担いでいる」と批判する人がいますが、政策実現にせよ選挙にせよ、私は自民党のために行動したことは一度もありません。あくまで、常に国民民主党第一で考えて行動してきた結果であり、国民生活第一で考えてきた結果です。ガソリン値下げについても、結果としてトリガー条項凍結解除ではなく補助金による値下げになったことは残念ですが、当時、必死で実を取ろうと頑張った大塚政調会長や榛葉幹事長の努力に泥を塗るような言動は、仲間として許すわけにはいきません。
そもそも、ガソリン値下げは長崎のガソリンスタンドで聞いた1人の自動車ユーザーの声から、電気代値下げは武蔵小杉の街頭演説で聞いた1人の学生の声から、そして、障害者福祉の所得制限撤廃は桜木町で聞いた障害児を育てている1人のお母さんの涙ながらの声から始まった政策です。それを自民党に利用されるだけの政策だというのは、あまりにも表層的な批判であり、これまで努力してきた全ての国民民主党の仲間の思いや、政策実現に期待して私たちに声を託してくれた方々の思いを蔑ろにする言動です。国民民主党は、自民党に擦り寄っているのではなく、国民に寄り添っているだけです。

■「反自民非共産」を超えて、日本を前に、上に

そもそも、永田町で言われてきた「反自民非共産」こそ、中身の見えない古いキャッチコピー政治ではないでしょうか。こんなことを言い続けるから、若者が政治に近づかなくなっているのです。「反」とか「非」とか、後ろ向きなネガティブなメッセージでは、もはや国民の心を動かすことはできません。特に、将来に不安を感じている学生や生活者が求めているのは具体的な解決策です。だから、私たちは「対決より解決」「つくろう新しい答え」を掲げて政策実現に取り組んでおり、そんな国民民主党に、今、多くの若い人が期待を寄せてくれています。ここにいる皆さんの多くも、国民民主党に古い野党像を求めてはいないはずです。
私はこれからも、党大会で決めた「政策本位で協力できる政党とは与野党を問わず連携」するという活動方針に従い、国民に約束した公約を一つ一つ着実に実現につなげていきます。今必要なのは、永田町やメディアに受けるレッテル貼りではなく、困窮する国民を救う具体策です。
私はこれからも、政策先導、政策実現にこだわる国民民主党スピリッツを貫き、我が党を国民の皆様に信頼してもらえる政党に進化させていきます。
さあ皆さん、停滞する日本を動かすため、国民民主党を強く大きくしていきましょう。そして、給料が上がる経済を実現し、頑張れば報われる、頑張ればみんなの給料が上がる、右でも左でもない、みんなで一緒に上に行こう!そう言える社会をつくっていこうではありませんか。皆様のご支援、よろしくお願いします。

以上

国民民主党代表選の政見を代表選管に届出ました。動画でも短くまとめていますので、ぜひ御覧ください。

 

国民民主党代表選挙 政見

「対決より解決」で、停滞する日本を動かす。

■基本姿勢

「対決より解決」、「政策先導型の改革中道政党」の基本姿勢並びに昨年及び本年の党大会で決定した「政策本位で協力できる政党とは与野党を問わず連携」する党の活動方針に従い、国民に約束した政策を一つ一つ着実に実現につなげていく。

◯ 過去の反省も踏まえ、安易に他党との合流に頼らず、「国民民主党を国民民主党として強く大きくしていく」ことに覚悟を持って取り組む。

◯「全国キャラバン」などで全国47都道府県を回った中での最大の気づきは、「国民民主党は、もはや国会議員だけの政党ではない」という現実。だからこそ、国民民主党を信じて支えてくれている地方議員や党員・サポーターを、国会議員の選挙の都合で振り回すようなことはしない。

穏健な多党制による政権交代のある政治体制の確立をめざす。

 

■党勢拡大の中期ビジョン

「大型国政選挙ごとに比例票の2割増」を実現し、国民民主党をキャスティングボート(決定権)を握れる政治勢力に成長させる。
【比例票の獲得イメージ】259万票(2021衆院選)→316万票(2022参院選)
→380万票(次期衆院選)→460万票(2025参院選)→560万票(次々回衆院選)

◯次期衆院選に向け、候補者の積極的な擁立を継続し、比例議席は現在の5議席に加え、議席獲得が見込まれる東京ブロック、東北ブロック、東海ブロック(2議席目)で確実に3議席を得つつ、他のブロックや東京ブロックにおける2議席目の獲得をめざす。小選挙区では2議席以上の増をめざす。

◯次期2025参院選では、全国比例4~5議席(460万票)を確実に獲得する。

■支持率アップに向けた党改革

◯地方選に積極的に候補者を擁立するとともに、産別の組織内議員など無所属の自治体議員の入党を促し、日常活動を共に行える体制を強化する。

◯自治体議員や総支部長のみならず、党員・サポーターやボランティアも巻き込んだ「全国一斉街頭演説」や「全国一斉ポスティング作戦」を定期的に実施する。

◯介護や医療など生活に密着したテーマについて、現場の実態を踏まえた相談を行う地方議員の専門チーム「地方議員ネットワーク会議(仮称)」を創設し、政策提言に活かす。

党員・サポーターが党執行部に対して直接政策やアイデアを提案できるシステムを整備し、一定数が集まった提案は政調等で議論する。

総支部長や自治体議員候補者向けの「こくみん選挙塾(仮称)」を開催する。本部から講師を派遣し、選挙ノウハウ等を伝授する。

◯国会議員ではない者のうち政策・理念を同じくする人が共同代表になることを可能とし、国民民主党の政策発信力を強化する。

略称及び党名のあり方を検討する。その際、自治体議員、党員・サポーターの意見を的確に反映する。

■主な政策

 

「給料が上がる経済の実現」「人づくりこそ国づくり」「自分の国は自分で守る」の三本柱を国民民主党の基本政策とする。

◯特に来年の春闘で4%程度の賃上げ実現に最優先で取り組む。毎年4%の持続的賃上げの結果として、約18年で現役世代の給料を倍増させ、高齢者の年金額を増やす。

◯介護・看護・保育等の従事者の賃金を約10年で倍増させる。

◯賃上げ実現による副作用をなくすため、児童手当や障害児福祉、ひとり親家庭支援の所得制限を撤廃する。「年収の壁」問題を解消する。

◯今は「持続的賃上げ」にとって重要な時期であり、賃上げにマイナスとなる増税や控除の廃止、社会保険料アップは行わない

◯3年連続で5兆円~10兆円規模の税収の上振れ(税金の取り過ぎ)が生じていることから、これを物価高で苦しむ国民に還元する「成長減税」を実施する。

 

 

◯付加価値の高い新たな産業と雇用を生み出すため、投資額以上の償却を認める「ハイパー償却税制」を導入し、企業の設備投資を一気に加速させる。

「教育国債」の発行で、子育て・教育・科学技術予算をすぐに倍増させる。高校までの教育完全無償化と、給付型奨学金の対象を大幅に拡大する。

◯地方出身学生の仕送り負担軽減のため、年間の仕送り額を所得控除の対象とする「仕送り控除」制度を創設する。

「若者免税」(30歳以下の所得税・住民税を免除)を導入し、働く若者をサポートする。大学生の奨学金負担の軽減に加え、高専、高卒等で働く若者も応援する。

◯学校教員の長時間労働を是正するとともに、給特法は廃止を含め見直す

◯かかりつけ医と訪問看護など医療と介護の連携、在宅サービスの充実、配食や見守りなどを推進し、「地域包括ケアシステム」の取り組みを拡充する。

◯介護従事者の賃上げのため、処遇改善加算の対象を介護職から「介護従事者」へ拡充するとともに、ケアマネージャーの更新研修を廃止する。

◯治療薬の早期承認や検査体制の拡充など認知症対策を強化し、介護離職をゼロにする。

 

 

◯ヤングケアラー実態調査を定期的に行うとともに、ヤングケアラーの子どもやその家族に対する福祉的・教育的な支援を拡充するため「ヤングケアラー支援法」を成立させる。

◯安心して妊娠・出産・子育てができる地域支援の拠点「子ども版地域包括支援センター」を全国展開する。

◯障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学び働く「インクルーシブ教育・雇用」を推進するとともに、人工知能(AI)やICTを活用した新たな社会参加・就労機会の場を確保する。

◯国民民主党が主導してきた孤独・孤立対策を強化する。特に、産後うつを予防するための産後ケアや睡眠指導、レスパイト(休息)の推進と無償化を推進する。高齢者の孤独・孤立対策として、地域企業と連携した見守りサービスの構築やコミュニケーションロボット等の購入のための補助制度を創設する。

◯地震や津波の影響を受けない浮体式原子炉等の新技術や核融合の開発・導入により、安価で良質な電力の安定供給を確実にする。電力システム改革を検証して見直す。

◯カーボンニュートラルを見据え、二重課税となっている自動車関係諸税を抜本的に見直し、暫定税率を廃止するなど税の簡素化と負担軽減を実現する。

◯当面のガソリン価格高騰には、現行補助の延長(当初水準の最大リッター35円)で、レギュラーガソリンをリッター168円以下に値下げする。軽油や重油、LPガスも引き下げる。

 

 

◯多発する自動車盗難への対策を強化するため、「自動車盗難対策法」等を成立させる。

「物流の2024年問題」に対応するため、荷待ち時間や附帯作業の見直しや関連分野の規制改革等を推進する。

◯食料自給率の向上を図るため、品目別の自給率目標を設定する。

◯農地の維持・活用に対して直接支援する「食料安全保障基礎支払」を創設し、営農継続可能な所得を下支えする。「環境加算」により環境保全型農業を推進する。苦境に陥っている酪農に対して「牛マルキン」のような新たな支援制度を創設する。

◯農産物等の価格転嫁を円滑に実現するため「日本版エガリム法」を制定する。

◯総合的な安全保障を確立するため「外国人土地取得規制法」を成立させる。

◯サイバー攻撃者の動向を探り対処を行うアクティブ・サイバー・ディフェンス(ACD)能力と体制を強化するため、「サイバー安全保障基本法」を制定する。

◯イノベーションや薬の安定供給を阻害する現在の薬価改定を抜本的に見直す

セルフメディケーションの選択肢を広げ、安全性が高く効き目が確認されている医療用成分のスイッチOTC化を積極的に推進し、医療費適正化を図る。早期発見、早期受診を促すため検査薬のOTC化も推進する。

◯顧客による企業への理不尽なクレームや要求に対応するため、「カスタマーハラスメント対策法」を成立させる。

マイナンバーカード問題の解決のため、ミスやバグを見つけた国民に電子マネーでポイントを付与する「詫び石」戦略で、国民を巻き込んだ総点検を実施する。

◯マイナンバーを活用して所得や資産の把握を迅速・効率化し、税還付と給付を組み合わせた「日本型ベーシック・インカム」を導入することで、「貯金ゼロでも不安ゼロ」の社会をめざす。各種給付金が申請不要で給付される「プッシュ型支援」を可能とする。

◯行政のデジタル化を進めるとともに、電子決済等の技術革新や社会のデジタル化に逆行する印紙税は廃止する。

◯雇用のセーフティネット機能を高めつつ、成長分野への人材移動と集積を進めるため、職業訓練と生活支援給付を組み合わせた求職者支援制度を拡充し、「求職者ベーシック・インカム制度」を創設する。

フリーランス、ギグワーカーなどに対応した教育・雇用環境を整備する。

◯急増するオンラインカジノなどを含むギャンブル依存症対策に取り組む。

動物愛護政策を推進し、人と動物が幸せに暮らせる社会を実現する。

◯これまでの政治改革を検証し、衆議院の選挙制度を見直す。参議院は合区を解消する。

18歳被選挙権及びスマホ投票を可能にし、若者の政治参加を促す。

 

国民民主党の代表選挙に出馬します。仲間と力を合わせて、国民民主党を強く大きくしていきます。 選挙に臨む「政見」は以下のとおりです。

 

国民民主党代表選挙 政見
 

令和5年8月3日
玉木 雄一郎

■基本姿勢
◯ 過去の反省も踏まえ、他党との合流に安易に頼らず、「国民民主党を国民民主党として強く大きくしていく」ことに覚悟を持って取り組む。
◯「対決より解決」、「政策先導型の改革中道政党」の姿勢並びに昨年及び本年の党大会で決定した「政策本位で協力できる政党とは与野党を問わず連携」する党の活動方針に従い、国民に約束した政策を一つ一つ着実に実現につなげていく。
◯国民民主党は、もはや国会議員だけの政党ではない。国会議員の選挙の都合で、支えてくれている地方議員や党員・サポーターを振り回すようなことはしない。
◯穏健な多党制による政権交代のある政治体制の確立をめざす。

■政策
◯国民民主党政策3本柱の「給料が上がる経済の実現」「人づくりこそ国づくり」「自分の国は自分で守る」を基本としつつ、特に、来年の春闘で4%程度の賃上げの実現に最優先で取り組む。そのため、あらゆる政策的・政治的支援を行う。
◯結果として、18年間で現役世代の給料を倍増させ、高齢者の年金額を増やす。
◯介護・看護・保育等の従事者の賃金は、10年間で倍にする。
◯賃上げ実現に伴って生じる副作用を取り除くため、児童手当や障害児福祉の所得制限を撤廃し、「年収の壁」の問題を解消する。
◯今は「持続的賃上げ」にとって重要な時期であり、増税(控除の廃止を含む)や社会保険料アップなど、賃上げにマイナスなことは行わない。
◯3年連続で5兆円〜10兆円規模の税収の上振れ(税金の取り過ぎ)が生じていることから、これを国民に還元する「成長減税」(消費税減税/所得税減税)で、物価上昇に苦しむ家計を支援し消費を下支えする。
◯「若者免税」(30歳以下の所得税・住民税を免除)を導入し、働く若者をサポート。大学生の奨学金負担の軽減だけでなく、高卒で働く若者も応援。
◯「教育国債」の発行で、子育て・教育・科学技術予算を速やかに倍増。高校までの教育の完全無償化と、給付型奨学金の給付対象の大幅拡大を実現する。
◯地震や津波の影響を受けない「洋上原子力発電所」など新技術の導入により、安価で良質な電力の安定供給を確実にする。電力システム改革を検証し、見直す。
◯カーボンニュートラルを見据え、自動車関係諸税を抜本的に見直し、暫定税率を廃止するなど、税の簡素化・負担の軽減を実現する。ただし、当面のガソリン価格高騰に対しては、現行の補助の延長(当初の水準)で値下げを実現する。
◯イノベーションや薬の安定供給を阻害する現在の薬価改定を抜本的に見直す。
◯カスタマーハラスメント対策法案を成立させる。
◯マイナンバーカード問題の解決のため、ミスやバグを見つけた国民に電子マネーでポイントを付与する「詫び石」戦略で、国民を巻き込んだ総点検を実施する。
◯マイナンバーを活用して所得・資産の把握を効率化し、税還付と給付を組み合わせた「日本型ベーシック・インカム」を導入し、「貯金ゼロでも不安ゼロ」の社会をめざす。
◯18歳被選挙権及びスマホ投票を可能にし、若者の政治参加を容易にする。

■党勢拡大のビジョン(中期目標)
◯「大型国政選挙ごとに比例票の2割増」を実現し、国民民主党をキャスティングボート(決定権)を握れる政治勢力に成長させる。
【比例票の獲得イメージ】259万票(2021衆院選)→316万票(2022参院選)
→380万票(次期衆院選)→460万票(2025参院選)→560万票(次々回衆院選)
◯次期衆院選に向け、候補者の積極的な擁立を継続し、比例議席は、現在の5議席に加え、議席獲得が見込まれる東京ブロック、東北ブロック、東海ブロック(2議席目)で確実に議席を得つつ、他のブロックや東京ブロックにおける2議席目の獲得をめざす。小選挙区では2議席以上の増をめざす。
◯次期2025参院選では、全国比例4〜5議席(460万票)を確実に獲得する。

■党運営の改革(支持率アップに向けた対策)
◯産別の組織内議員など無所属の地方議員の入党を促し、都道府県レベルにおける国民民主党の党勢拡大に向けた日常活動に積極的に参画してもらう。
◯「全国一斉街頭演説」や「全国一斉ポスティング作戦」を定期的に実施し、全国の党員・サポーターやボランティアも巻き込んだ党勢拡大運動を計画的に行う。
◯国会議員ではないものの政策・理念を同じくする人が共同代表になることも可能とし、国民民主党の政策の発信力を強化する。
◯略称及び党名のあり方を検討する。その際、地方議員、党員・サポーターの意見を的確に反映する。
◯介護や医療など特例のテーマについて、現場の実態を踏まえた相談や政策提言を行う地方議員の専門チーム「地方議員ネットワーク会議(仮称)」を創設する。
◯党員・サポーターが、党執行部に対してダイレクトに意見・アイデアを伝達できるシステム「オンライン政策ミーティング(仮称)」を整備する。
◯総支部長、地方自治体議員候補者向け「選挙塾(仮称)」を開催し、本部から講師を派遣し、選挙ノウハウ等を伝授する。

 

 

今年1月23日に召集された第211回国会も来週21日が会期末となり、(会期延長がなければ)衆院憲法審査会も本日が今国会最後となります。今日を含めて15回、トータル24時間半にわたって議論を重ねてきました。

 

本日は衆院憲法審査会事務局から、緊急事態条項に関するこれまでの議論を取りまとめた資料が配付され、橘衆院法制局長から説明がありました。

 

「緊急事態(特に、参議院の緊急集会・議員任期延長)」に関する論点〜今国会における各会派1巡目の発言を中心に〜
(衆議院法制局・衆議院憲法審査会事務局作成)

 

この資料を見ても国民民主党や自民党、公明党、日本維新の会、有志の会の5会派でほぼ意見の一致を見ています。私からは、来年の通常国会での発議を目指して、具体的な条文化作業に入ることを提案しました。

 

憲法審査会発言要旨(2023年6月15日)

 冒頭、緊急事態条項に関する事務方の論点整理に感謝したい。これを見ると、5つの会派でほぼ意見が一致している。ぜひ幹事会の場や作業部会を設置するなどして、議員任期の延長については具体的な条文化作業に入ることを求めたい。すでに国民民主党は、日本維新の会、有志の会の皆さんと具体的な条文案も作成しているので、そうした条文案作りに積極的に貢献したい。首都直下型地震などの緊急事態はいつ発生するか分からない状況にあり、次の衆議院選挙が行われる前に憲法改正を実現することが理想です。加えて、岸田総理自身も、自らの任期中の憲法改正の意欲を示されているのだから、遅くとも、来年の通常国会で発議ができるスケジュールで作業を進められるよう、自民党には作業をリードしていただきたい。


 そして私は、議員任期延長の憲法改正については、立憲民主党とも合意が得られるものと期待している。現に、奥野議員は前回「立憲主義の立場からは、想定しうることは、権力抑制の観点、分立の観点から、憲法にあらかじめきちんと規定しておくべきだと考えている。そして、それは、任期の延長でいくのか、あるいは緊急集会で行くのか、どっちが民主的正統性があるのかということから検討すべきである」と述べておられる。議論次第では、十分に合意の余地があると考えている。


 私たちは、70日を超えて長期に選挙ができない場合に、「民主的正統性がある」制度として、両院同時活動原則に合致した「議員任期の延長」の憲法改正を提案している。同時に、「時の権力者が安易かつ長期に任期を延長して、政権を延命させる」危険性には留意する観点から、司法による権力抑制の仕組みも同時に提案している。


 階委員は、議員任期の延長での対応について、「恣意的な権力行使の余地が広がるように憲法を解釈し、国家権力にとって都合の良い憲法改正を主張することは、立憲主義に名を借りた立憲主義の破壊」とおっしゃられた。しかし私は、緊急集会が70日を超える長期間にわたって緊急集会が対応できるとする解釈こそ、階委員が懸念する「恣意的な権力行使の余地が広がる」ことになると考える。


 なぜなら、参議院もまた「権力」だからだ。しかも、憲法54条2項にあるとおり、参議院の緊急集会は「内閣の求め」によって開かれるものであって、実質的には時の内閣が主導権を発揮することになる。なぜ、緊急集会で対応する方が、議員任期の延長に比べて、時の内閣の恣意的な権力行使を抑制できると考えるのか、曖昧な解釈に基づいて行われる70日を超える緊急集会での対応の方が、時の内閣の恣意的な権限行使の余地を広げることになるのではないか。まさに、大石先生の言う「参議院による権力の簒奪」を招くのではないか。改めて説明をお願いしたい。


 また、立憲民主党は、任期延長された議員には民主的正統性が欠けると批判されているが、任期の切れた多くの衆議院議員で構成される内閣の方が、よっぽど民主的正統性を欠いているのではないか。あわせて考えを伺いたい。


 明日解散して、緊急事態が発生した場合には、私も、緊急集会で対応せざるを得ないと思う。しかし、私たちは立法府の人間だ。奥野委員が述べたように、「立憲主義の立場からは、想定し得ることは、憲法にあらかじめきちんと想定しておくべき」だ。であれば、より民主的正統性を担保できる制度を、憲法改正でつくり、想定される緊急事態に備えるのが責任ある国会議員の姿だと考える。少なくとも私は「選挙困難事態は起こり得ない」と考える「お花畑の立場」ではないことは改めて申し上げる。


 それと、そもそも、緊急事態における議員任期延長の憲法改正が「国家権力にとって都合の良い憲法改正である」という主張にも、正直、違和感を覚える。東日本大震災の際、議員任期を延長したのは、ただただ、あの大混乱の中、有権者も役場の職員も選挙を行うことができず、それに対応するためだったのではないか。仮に、時の権力、とりわけ内閣の暴走を恐れるのであれば、司法のチェックに加えて、緊急事態下であっても内閣不信任案の議決を認める制度にすればいいのではないか。実際、3会派の最新の案では、(資料にあるこれまでの考えから変えて)緊急事態下でも内閣不信任案の提出は可能としている。要は制度の作り方だ。そして、憲法に明記した方が、解釈による権力拡大よりは危険性の抑制はできると考える。


 もう一つ、確認したいのは、階委員は「70日ルールを守れなくなるような選挙困難事態への対応につき議論することはやぶさかではない」と述べておられるが、70日を超えるような選挙実施困難時に緊急集会で対応する場合、その緊急集会は、最大どれだけの期間対応できると考えるのか。そして、選挙ができるようになったと判断し、緊急集会での対応を終わらせ、選挙を実施させる権限を持つのは誰で、また、その際の要件についてはどのように考えているのか、教えていただきたい。選挙実施可能性の判断が「内閣」に委ねられるとするなら、結局、権力維持を目論む内閣は、いつまでも緊急集会で対応することを続けて選挙をしない可能性を排除できないのではないか。特に、内閣と参議院が結託して行う権力の恣意的拡大をどのように防止するのか考えを聞かせていただきたい。


 階委員は「70日という上限を設けず緊急集会の活動を認めるとともに、その権限の範囲は、必要最小限かつ暫定的なものにとどめる」と述べておられるが、権限には限定があるが、期間には限定がないとする解釈そのものが極めて恣意的であり、権力濫用の危険性を払拭できないと思われる。特に、資料にあるとおり、立憲民主党は「70日超の開催を前提に権限の拡大も選択肢」と発言されているので心配している。


 立憲主義の基本は、まず憲法に「書いてあること」を書いてあるとおり尊重することだと考える。そして、立憲主義を徹底するためには、事前に緊急事態における例外的対応を憲法に明定しておくべきだ。もし、緊急集会に、階議員が主張するような拡張された機能を持たせるのであれば、憲法を改正してその要件と効果を憲法に書くべきではないか。


 私たち国会議員は「立法者」である。だからこそ、例え「蓋然性」が低くても、可能性がある限り国民の生命や権利を守るためのあるべき法制度を構築する責任を負っているはず。危機に備えるかどうかを決めるのは学者ではない。それは国民の生命や権利を守る責任を背負った私たち国会議員なのである。緊急事態における対応についても、いや、緊急事態における対応こそ、権力の濫用につながりやすい「解釈」に安易に委ねるのではなく、憲法改正によって緊急事態における権力統制のルールを明文化し、立憲主義を守るべきであることを主張して発言を終える。

 

衆議院インターネット審議中継より

今国会も会期末まで残すところ2週間を切り、憲法審査会もあと2回となりました。今回は憲法改正の国民投票で広報を担う国民投票広報協議会の役割と、現在は法定されていないネットでの広報について、具体的な検討に着手すべきと提案しました。

 

特にネット空間でのフェイクニュースや偽情報については、EUの「偽情報に関する行動規範」や我が国の「プラットフォーム透明化法」などを参考に、規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者の自主的取組に委ねる「共同規制」を提案しています。

 

憲法改正だけにとどまらない課題かもしれませんが、憲法改正を発端として議論を深めていきたいと思います。

 

衆議院インターネット審議中継より

憲法審査会発言要旨(2023年6月8日)

(協議会によるインターネットを利用した広報・広告)
 現在の憲法改正手続法には、インターネットを利用して行う国民投票広報協議会による広報についての規定や、協議会の費用で行う政党のインターネット広告についての明文規定がありません。インターネットがこれだけ影響力のあるメディアになっている以上、協議会がインターネットを利用した広報や、禁止期間における政党等の広告を行うための法整備が必要と考えます。協議会がインターネットを利用した広報・広告に関して何がどこまでできるのか明らかにしないまま、政党等の広告を禁止してしまうと過度な規制になり、国民は正確な情報に接する機会を失い、政党等の広告の禁止期間中、フェイクニュースにばかりに晒されることにもなりかねません。

(協議会のファクトチェック機能)
 さらに、テレビ広告と異なり、個人がSNS等で発信する意見については規制は困難だと考えます。そして、個人の発信を制限できない以上、膨大なフェイクニュース情報の発信が予想され、そうしたフェイクニュースの嵐に対して協議会の発信だけで対抗できるのかといった検証も必要です。例えば、「国民民主党の緊急事態条項はナチス時代の緊急事態条項と同じだ」と言ったフェイクニュースが流布した場合に、それを防止したり停止するために、どのような有効な対抗策があるのでしょうか。協議会から正しい情報を大量に出すようなカウンター攻撃も一案ですが、同時に、協議会に何らかにファクトチェック機能(民間機関との連携を含む)や、是正措置の権能を持たせることも検討すべきです。

 例えば、フランスには、「ヴィギヌム」という政府組織が2021年7月に創設され、外国勢力を含むプラットフォーム上の虚偽または敵対的なコンテンツの伝播を監視し検出する役割を果たしています。ただし、この機関は国民投票の公正性の確保のためだけの組織ではなく、広く外国からの偽情報等によるデジタル干渉に対抗する機関であり、国家安全保障部局の一部に位置付けられています。

(偽情報対応におけるプラットフォーム事業者への規制のあり方)
 次に、フェイクニュース対応に関するプラットフォーム事業者への規制のあり方についても一言申し上げます。フランスでは、投票日の3ヶ月前に、偽情報が拡散されている場合、検察官、候補者等、利害関係者から求めを受けた裁判官は、プラットフォーム事業者に対して送信停止を命じることができ、裁判官は申立から48時間以内に停止に関する判断を行わなければならないとされています。その一方、EU全体としては、欧州委員会はデジタルサービス法(DSA)においてもその位置付けが確認された「偽情報に関する行動規範」(the Code of Practice on Disinformation)を更新し、事業者の自主規制に委ねています。署名者は計34者となり、今年2月にはMeta、Google、Microsoft、TikTokなどを含む30の署名者が署名後初のレポートを提出しています。


 我が国では、公的規制、自主規制を適切に組み合わせていくことが現実的なアプローチだと考えますが、例えば、2020年に成立した「デジタルプラットフォーム透明化法」のような間接規制の枠組みは参考になると思います。同法の規制の枠組みは、「特定デジタルプラットフォーム提供者」に対して、自主的な体制整備を自己評価した報告書の提出を義務づけ、それを行政庁がレビューする仕組みです。規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者の自主的取組に委ねる「共同規制」(co-regulatory agreements)の手法を採用し、国の関与や規制を必要最小限のものとしています。

 いずれにしても、誰でも発信者になれるインターネット空間においては、誰でも発信者になれるため、テレビと全く同じ規制は現実的ではなく、インターネットの特性を活かした規制とすべきであり、その際、プラットフォーム事業者の規制のあり方をどう整理するのかについて合意を得ることが必要です。

(3つの提案)
 終わりに、今後の運営について3つ提案します。


 まず、インターネットを使った広報を含む「国民投票広報協議会」の具体的な役割について定めた「規定の原案」の作成を事務局にお願いします。


 次に、次回が今国会最後の憲法審査会であることから、これまで議論が積み上がってきた緊急事態条項、とりわけ議員任期の延長などについて、改めて各党・各会派の意見をまとめた論点整理を行い、今国会における衆議院憲法審査会としての意見の集約を図るべきです。事務局への作業の指示、森会長の取りはからいをお願いします。


 最後に、緊急集会のあり方については、国会法102条の8に規定する、参議院との合同審査会を、ぜひ開催して合意形成をはかっていくべきです。しかし、同条3項で、合同審査会を開催するためには、両議院の決議によって合同審査会規則を定めることになっているので、この規則案の策定についても、森会長から事務局に指示を出してください。

 

 次回は今国会最後の憲法審査会。せっかく、これだけの時間をかけて議論を積み上げてきたわけだから、言いっぱなしではなく、緊急事態条項について改めて論点を整理し、合意点を確認し、成果を一つ一つピン留めすることをお願いします。

今週も憲法審査会が開催され、参議院の緊急集会の権能についての議論が交わされました。私からは前々回の参考人質疑で憲法学者の長谷部恭男早大教授が述べられた、広範かつ長期にわたって選挙ができない事態が発生する蓋然性は低く、選挙が実施できない期間が70日を超えても緊急集会で対応すればいいとの意見に対して、反対の立場から意見を申し述べました。憲法に日数が書き込まれている以上、緊急集会の期間は最大70日とし、それ以上の期間は、憲法改正で議員任期の延長を認めて対応すべきです。なし崩し的に緊急集会の期間を延長することを憲法は予定しておらず、かえって、時の内閣による「権力の濫用」を招きかねません。

 

学者は「既存の条文の解釈」を出発点にして体系的に学説を組み立てますが、我々国会議員は「立法者」です。わずかでも可能性がある限り、緊急時に国民の生命や権利を守るための法制度を構築(憲法を改正)する責任を負っています。危機に備えるかどうかを決めるのは学者ではなく、政治家たる国会議員です。私たちが決めない限り答えは出せないのです。


審査会における発言の概要は以下の通りです。

 

衆議院インターネット審議中継より

憲法審査会発言要旨(2023年6月1日)

 緊急集会の期間については、私は、最大70日と考えるべきだと思います。大石先生が主張されたように、70日という「数字が書いてあることの意味というのはやはり捨て難く、それを突破されたらどこまでが限界か分からなくなる」からです。一方、長谷部先生は、40日や30日といった具体的数字の入った準則規定は、平時には100%守らなければならないが、緊急事態においては、まず生き延びることが大事なのだから、必ずしも100%従わなくてもいい旨述べられました。しかし、これは、緊急事態を理由に、行政の解釈で憲法に「書いてある」ルールを恣意的に拡大することに道を開くものであり、むしろ、権力の濫用につながる危険性を孕んだ解釈だと考えます。


 より具体的にいうと、仮に70日を超えて緊急集会を適用できるとして、では、いつまで可能なのか、そして、その期間を決めるのは誰なのか。憲法に規定がない以上、結局、その決定は、実質的に時の内閣が行うことになり、権力の濫用につながる恐れを払拭できません。また、長谷部先生は、70日は、ある政治勢力が権力の座に居座ることを防止する規定だとおっしゃられましたが、参議院が、現在のように衆議院の多数派と同じ政党が多数を占めている場合には、結局、同じ政治勢力が権力に居座り続けることになります。しかも、両院同時活動の原則が崩れた形で居座ることになります。


 そして、こうしたモーリス・オーリウ流の「緊急事態の法理」を認めるのであれば、憲法9条の規定や解釈は全く意味がなくなってしまいます。国家の存亡をかけた究極の緊急事態が戦争であり、そのときに、国家の生き残りのためであれば、敵基地攻撃どころかフルスペックの集団的自衛権の行使さえ可能となります。条文解釈から導かれる専守防衛や必要最小限の制限も消え失せてしまうでしょう。普段、憲法の条文を守れと主張する方々は、このようなモーリス・オーリウ流の「緊急事態の法理」を許すのでしょうか。54条2項については「緊急事態の法理」があてはまるが、9条にはあてはまらないとするのは、あまりにもご都合主義であり、論理的整合性を欠いていると考えます。この点については、共産党や立憲民主党の意見を伺いたいと思います。


 ちなみに、モーリス・オーリウは「緊急事態の法理」の根拠として、その「権力の起源は神にある」と述べています。権力の起源が神にあるとする「神学理論」が正しいと考える人が、ここにいるとは思えません。


 もう一つ。長谷部先生が紹介されたイギリスの「バッコーク判決」についてですが、私も緊急時には赤信号を無視していいと思います。だからこそその例外を、事前に憲法や法律に書くことを提案しているのです。実は、この判決の最後の部分で、裁判官が同じ趣旨のことを次のように述べています。「私は、法律を改正すべきだと思います。全く例外なく違反とする法律を放置したことで、議会は消防署における終わりのない議論に道を開いてしまったのだから、それを終わらせるべきだ。今日の判決がそうした議論に終止符を打つことができればと思うが、議会はもっと良い対応ができるはずだ」と。つまり、緊急時には赤信号を無視できる命令は仕方がないと判示しつつも、そうした例外を法定することを議会に求めたのです。


 立憲主義の基本は、まず憲法に「書いてあること」を書いてあるとおり尊重することではないのでしょうか。立憲主義を徹底するためには、事前に緊急事態における例外的対応を憲法に明定しておくべきです。これに関して思い出すのが、日本国憲法制定当時、いざとなったら内閣のエマージェンシー・パワーで処置すればよいと言ったGHQに対し、日本側から「憲法をこれから作ろうという際に、超憲法的な運用を予想するようでは、明治憲法以上の弊害の原因となる、全てが憲法の正条によって処置されるようにすることがむしろ正道ではないか」と反論した事実です。私たちも今、超法規的な運用に頼るのではなく、憲法の規範性を重視しようとした当時の日本側起草者と同じ思いを共有すべきではないでしょうか。


 そして、長谷部先生のような研究者との私たち国会議員との間には、根本的な認識の違いがあると感じます。学者は「既存の条文の解釈」を出発点にして体系的に学説を組み立てるのに対し、私たち国会議員は「立法者」であり、それゆえ、例え「蓋然性」が低くても、可能性がある限り国民の生命や権利を守るためのあるべき法制度を構築する責任を負っているはずです。危機に備えるかどうかを決めるのは学者ではありません。それは国民の生命や権利を守る責任を背負った私たち国会議員です。私たちが決めない限り答えは出せません。


 そして、こうした認識の差は、選挙にかかる認識においてより顕著だと思います。特に、「選挙が可能となった地域から順次、繰延投票を行なって当選者を決めていけばいい」という考えは、到底、取り得ないと思います。投票時期が大幅にずれて行われる選挙は、国民意思の表明に時間的な差が生じ、選挙の一体性が担保されないからです。全国一斉に行われる「国政選挙」の正当性に対する考え方が、学者の先生方とは根本的に異なっていると言わざるを得ません。


 また、3分の1以上の議員が選出されたら定足数を満たし、そして国会議員は「全国民の代表」だからよしとする考えも、あまりに形式的に過ぎます。例えば、先ほど岩谷委員が述べたように、近畿地方で大災害が発生して選挙ができないときは、維新の会の議員の当選者が大幅に減るでしょう。そんな中で開催される国会が全国民を代表した選挙と言えるのでしょうか、やはり疑問です。


 最後に一言申し上げます。戦後、私たちが目撃してきたのは「憲法の死文化」です。本来なら憲法を改正して対応すべきところを解釈を駆使して対応してきた結果、憲法に「書いてあること」と現実との乖離が放置され、憲法の死文化が進行してきたのです。更なる「憲法の死文化」を止め、憲法の規範性を回復することこそが、この憲法審査会の責務ではないでしょうか。よって、緊急事態における対応についても、権力の濫用につながりやすい「緊急事態の法理」に安易に委ねるのではなく、憲法を改正して「憲法の死文化」を防ぎ、立憲主義を守り抜くべきであることを主張して、発言を終わります。

本日の憲法審査会では、憲法改正に関する国民投票手続きについて議論しました。私からは、特に、各政党の憲法改正案の「インターネット広告」について、公平性・公正性の担保をどのように確保すべきか問題提起し、今から技術的な検討を含めた準備をしておくべきと提案しました。特に、「国民投票広報協議会」に、フェイクニュースに対するファクトチェック(事実確認)機能を持たせることの必要性も訴えました。憲法改正については間違った情報やフェイクニュースが飛び交います。私自身も、誤解に基づく批判を受けることが多々あります。私が誤解されるのはいいのですが、国民民主党の提案する憲法改正案が誤解されることは避けたいところです。改正案の中身が正確に伝わらないと、国民が正しく判断できないからです。例えば、すでに、「国民民主党は国会の権能を低下させて行政が好き勝手にすることを認めようとしている!」などと批判を受けることも少なくありませんが、国民民主党案はむしろ、緊急事態においても基本的人権を守るための改正案なのです。ただ、憲法審査会を毎回チェックしている人には当たり前の前提であっても、全ての国民が毎回憲法審査会を見ているわけではないので、そこにフェイクニュース(偽情報)が入り込む余地が生まれてきます。国民の皆さんが憲法改正案の中身について正しく知ることができる環境を作るため何ができるのか、引き続き議論を深めます。

 

衆議院インターネット審議中継より

 

憲法審査会発言要旨(2023年5月25日)

現在の国民投票法は105条で、投票期間前14日間についてテレビ・ラジオのCMを禁止しています。そして、同法106条で、その禁止期間は、国民投票広報協議会が「憲法改正案の広報のための放送をするものと」定めています。また、放送に関して「賛成の政党等及び反対の政党等の双方に対して同一の時間数及び同等の時間帯を与える等同等の利便を提供しなければならない」としており、改憲に賛成する政党等及び反対する政党等について、協議会の費用で各自の広告が行える規定が整備されています。


また、同法107条で、協議会は「新聞に、憲法改正案の広報のための広告をするものとする」とされており、この広告に関しては、「憲法改正案に対する賛成の政党等及び反対の政党等の双方に対して同一の寸法及び回数を与える等同等の利便を提供しなければならない」とされています。

しかし、現在の国民投票法には、協議会のインターネットを利用する広報についての規定や、協議会の費用で憲法改正に賛成・反対する政党の広告を行うことについての規定もありません。インターネットがテレビ・ラジオと同等又はそれ以上に影響力のあるメディアになっている以上、協議会がインターネットを利用した広報や、禁止期間における政党等の広告を行うための法整備が必要と考えます。

ただし、その際重要なのは、 禁止期間中に協議会の負担で行うインターネット広告について、どのようなルールを定めれば公平性・公正性が担保されるかです。特に、テレビ・ラジオ、新聞における「同等の利便を提供」をインターネット広告でどのように担保するのか、つまり、テレビ・ラジオ放送での「同一の時間数及び同等の時間帯」や、新聞広告での「同一の寸法及び回数」をインターネット上でどのように確保し、公平性・公正性を担保するのかを具体的に検討する必要があります。


例えば、静止画では、「同一の寸法」として左右上下に一体に並べるような表示したり、動画の場合は、賛否を一連の動画として、順次、同じ秒数、表示させることが考えられますが、例えば、検索連動型広告については、どうするのか。検索画面上で「同一の寸法」で左右上下等一体に並べるように賛成意見と反対意見が表示されるようにするなどの工夫ができるのか、技術的に実施可能性も含め、業界側の意見も踏まえて検討する必要があります。

次に、禁止期間のみならず発議後から投票期日までのインターネット広告について、プラットフォーム事業者が守るべき「放送法4条」のような政治的中立性を求める一般ルールが必要との意見がありますが、まず、こうしたルールが可能なのか現実的な議論が必要です。そして、これは国民投票法に限らない問題でもあります。ちなみに、新聞には、放送法4条のような政治的中立義務はかかっていません。

そして難しいのは、インターネットのプラットフォーム事業者は海外事業者であることが多いために、公的規制やその適切な法執行は必ずしも容易ではありません。欧州では、インターネットのプラットフォーム事業者等に対する公的規制の試みが見られる一方で、プラットフォーム事業者等の自主的な措置も取られつつあります。我が国では、公的規制、自主規制、そして協議会によるインターネット広告の充実とを適切に組み合わせていくことが現実的なアプローチだと考えます。

なお、個人が発信主体を明示してSNS等で発信する憲法改正案に対する賛成や反対の意見については規制すべきではないし、できないと考えます。そして、SNS等によるいわゆるフェイクニュースや誤情報の発信の問題も、国民投票法に限った問題ではなくSNS等一般の問題であることから、公職選挙法なども含めて包括的に取り組むべき課題だと考えます。リテラシー教育の強化も然りです。

そして、個人の発信を制限できない以上、膨大なフェイクニュース情報の発信に協議会の発信だけで対抗できるのかという疑問もあります。例えば、国民民主党の緊急事態条項は国会機能を低下させ人権を侵害するものだといったフェイクニュースに対して、協議会の情報発信だけで対抗できると思えません。そこで少なくとも、協議会に、何らかにファクトチェック機能(民間機関との連携を含む)を持たせることも検討すべきだと考えます。

最後に、前回の参考人質疑について一言申し上げます。お二人の先生方には改めて感謝申し上げますが、長谷部先生の発言は、立憲主義とはそもそも何なのかを考えさせられるものでした。すなわち、40日や30日といった具体的数字の入った準則規定は、平時には100%守らなければならないが、緊急事態においては生き残るのが最優先だから、必ずしも100%従わなくてもいいとの主張です。しかしこれはリベラルの皆さんが最も恐れる事態ではないのでしょうか。つまり、緊急事態には、既存のルールを行政の解釈で「書いてある」ルールを恣意的に拡大してしまう危険です。この法理が許されるのであれば、例えば、憲法9条の規定や解釈は全く意味がなくなってしまいます。国家の存亡をかけた究極の緊急事態が戦争であり、そのときに、国家の生き残りのためであれば、敵基地攻撃どころかフルスペックの集団的自衛権の行使さえ可能となります。普段、憲法の条文を守れとおっしゃっておられる方々は、このようなモーリス・オーリゥ流の「緊急事態の法理」を許すのでしょうか。立憲主義の基本は、まず憲法に「書いてあること」を書いてあるとおり尊重することではないのでしょうか。私も緊急時には赤信号を無視していいと思います。だからこそそれを、事前に憲法や法律に書いておきましょうと提案しているのです。憲法に「書いてあること」を緊急事態の名の下に無視することこそ、最も立憲主義に反する行為ではないでしょうか。できれば次回、共産党、立憲民主党はじめ各会派に意見を伺いたいと思います。