ここでは改めて、ここで自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)についておさらいしたいと思います。

 

ASDは発達障害の一種であり、主に以下の2つの特徴によって定義されます。

  1. 社会的コミュニケーションおよび対人相互関係の障害

  2. 限局した興味や反復的な行動

ASDはかつてはアスペルガー症候群と言われていましたが、言語発達の遅れが著しい自閉症や注意欠陥多動性障害を含め、症状の強さや特性が個人ごとに異なり、現在は自閉スペクトラムという広い疾患概念で捉えられます。

 

ASDの原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因と環境要因の相互作用が関与していると考えられています。

 

DSM-5の診断基準では、以下の3つの社会的コミュニケーションの障害、および4つの反復行動・興味のうち2つ以上を満たす必要があります。

 

(1) 社会的コミュニケーションの障害

  • 社会的・情緒的な相互作用の困難(例:相手の感情を察することが苦手

  • 非言語的コミュニケーションの困難(例:視線や表情の使い方に特徴がある

  • 対人関係の構築と維持の困難(例:友人関係を築くのが難しい

(2) 限局した興味や反復的な行動

  • 同一性へのこだわり(例:ルーチンの変更を嫌う

  • 特定の物事への強い興味(例:特定の数字や電車の種類に強い執着

  • 感覚刺激に対する異常な反応(例:音に対して過敏

  • 反復的な動作や言語(例:オウム返し

ちなみにこの基準を眺めて、私は全て満たしていることを強く実感しています。
 
ASDはその時期により問題となる特徴が異なります。
 
乳幼児期の場合は
  • 目を合わせることが少ない

  • 名前を呼んでも反応しない

  • 指さしが少ない

といったことが代表的な特徴です。
 
これは単純に発達自体の問題であり、外の世界に影響を及ぼすものではありません。
 
それが学童期になり、学校などの外の世界に出ると、以下のような問題が生じます。
  • ルールに厳格であるが、場面による適応が困難

  • 特定の興味に強いこだわりを示す

  • いじめや孤立を経験しやすい

私の場合、自分の決めたルール、例えば通り道や休み時間の過ごし方には、自分が決めたルールに則って行動していましたが、学校や同級生のペースについていくことが出来ませんでした。
 
一方で特定の興味について、私の場合は覚えている範囲内ですと、教育番組のビデオを永遠と見続けたり、漢和辞典を永遠と眺めたり、石ころを大量に集めたり、予防接種の時に腕に押さえていたアルコール綿を集めたりなど、そんなことだったように思います。
 
おおよそ一般的な趣味と異なることから、周囲と会話が出来ないだけでなく、変わり者扱いされて、いじめに合って孤立する、という流れです。
 
このように、多感な時期に人とのコミュニケーションや楽しみを奪われて、成人になってコミュニケーションの困難により職場や対人関係で困難を抱えることとなるのです。
 
まずは皆さんはいかがでしょうか?この話を聞いて自分ももしかしたらそうかも、と思われましたでしょうか?