ここでは改めて、ここで自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)についておさらいしたいと思います。
ASDは発達障害の一種であり、主に以下の2つの特徴によって定義されます。
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社会的コミュニケーションおよび対人相互関係の障害
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限局した興味や反復的な行動
ASDはかつてはアスペルガー症候群と言われていましたが、言語発達の遅れが著しい自閉症や注意欠陥多動性障害を含め、症状の強さや特性が個人ごとに異なり、現在は自閉スペクトラムという広い疾患概念で捉えられます。
ASDの原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因と環境要因の相互作用が関与していると考えられています。
DSM-5の診断基準では、以下の3つの社会的コミュニケーションの障害、および4つの反復行動・興味のうち2つ以上を満たす必要があります。
(1) 社会的コミュニケーションの障害
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社会的・情緒的な相互作用の困難(例:相手の感情を察することが苦手)
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非言語的コミュニケーションの困難(例:視線や表情の使い方に特徴がある)
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対人関係の構築と維持の困難(例:友人関係を築くのが難しい)
(2) 限局した興味や反復的な行動
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同一性へのこだわり(例:ルーチンの変更を嫌う)
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特定の物事への強い興味(例:特定の数字や電車の種類に強い執着)
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感覚刺激に対する異常な反応(例:音に対して過敏)
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反復的な動作や言語(例:オウム返し)
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目を合わせることが少ない
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名前を呼んでも反応しない
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指さしが少ない
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ルールに厳格であるが、場面による適応が困難
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特定の興味に強いこだわりを示す
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いじめや孤立を経験しやすい